牛 第15課(その2)

 牛 第15課(その2)
 牛伯因為体血到火計的病脚(くもやんは相棒の足の痛みがわが事のように分かっていたので)、不敢吝嗇自己気力(自分の力を出し惜しみしなかった)。小牛也因為顧慮到主人的縁故(小牛も主人のことを思う故に)、特別用力気向前奔(特別に力を込めて前にすすんだ)。他門一天耕的田比用工人両倍還多(彼らは一日で耕した畑は作男の場合に比べて倍よりもまだ多かった)。
 迂是呼回到了家中(そこで家に戻ってから)、両位又用理由イ故邦快楽幸福的夢了(二人は又理由があって、その楽しく幸せな夢が見られることになった)。牛伯為自己的夢也涼牙了(くもやんは、自分の夢の為に驚いた)、因為他夢到牛欄里有四只牛(というのは、彼は牛の囲いには四頭の牛がおり)、有両只是花牛(そのうち二頭は花牛であり)、生長得似呼比火計更其体面(生長して相棒よりも更に格好が好かったようである)。第ニ天一早起来、他就走到欄辺去看(翌日朝早く起きると、彼は囲いの所に行って見て)、且大声的告給”火計”説(大きな声で「相棒」に言った):”朋友、汝応当有ケ伴才是事(兄弟、お前さんは、仲間がいてやっと好いのだ)。我門到十二月再看去(十二月になったら会うとしよう)。”
 火計想十二月還有此日子(相棒は十二月にはまだ日があると思ったので)、就点点頭(軽くうなづいた)、”好、十二月去(ええ、十二月としましょう)”
到了十二月(十二月になって)、湯里所有的牛全被衛門征発到一ケ不可知的地方去了(村に所有されている牛は全て役所に挑発されてどこかわからぬ所へ連れていかれてしまった)、大牛伯只有成天到保長家去探訊一件事可イ故(くもやんはただ終日、保長の家に行って、行方を尋ねるしかなかった)。順眼無意中望到充在自己屋角的木郎槌(何の気なしに部屋の隅においてあった槌に目が行くと)、就後悔為十ム不重重的一下把邦畜生的脚打断(どうしてあの時重々しい一撃で、あの畜生の足を叩き折ってしまわなかったかと後悔したのだ)。