牛 第15課(その1)

 牛 第15課(その1)
 到了晩上(日が暮れて)、大家回家了(作男たちは家に帰った)、当主人用灯照到ヒ時(主人がランプで牛を照らしてみると)、這小牛就依然在ヒ邦水王王的大眼晴上(この牛は依然としてそのきらきら光る大きな目で)、解釈了自己的意思(自分の気持ちを説明していた)。ヒ像是在訴説(牛はこう訴えているようであった):”大多、我明天好了(親父さん、おれは明日に治ります)、把邦花銭雇来的両ケ工人打発走了去(あの金を払って雇った二人の工人は、もう帰してください)。我聞不慣他門的机肖和侮辱(あいつらの皮肉や侮辱は聞きたくない)。我願意多花点気力把田地追出(私がもっとがんばって畑を急いで作りますから)。汝放心(安心してください)、我一定不【言上】好天気帯来的好運気分給一切人(好い天気が持ってきた幸運を一切人に分けてあげているのに)、汝却独独無分(あなた一人に分けないなどということは、決してさせませんから)。
 主人是重這様意思的(主人にこの気持ちがわかった)、因為他不久就対牛説話了、他説:(というのは彼はすぐに牛に対して話を始めた、彼が言うには):
 ”朋友、是的(兄弟、その通りだ)、汝会【イ良】快的就好了的(おまえはすぐよくなるだろう)。医生説汝至多三天就好(医者は長くとも三日で治ると言っていた)。下田還是我門両ケ作配手好(畑に出るのは、はやりおれたち二人で組んだ方がいい)、我門追快把邦点地皮翻好(急いであの畑を起して)就下種(種を播こう)。因為汝的脚不方便(お前の足が悪かったから)、我請他門来幇忙(彼らに頼んで手伝いにきてもらったのだ)。汝【目焦】(ほら、みろ)、我花了銭還是只耕得一点点(銭を出してもただこれだけしか耕していない)。他門【口邦】有汝的気力(連中にお前のような気力があるか)?他門イ故工的人(ああいう連中は)、近来【月卑】気全放縦壊了(近頃、根性が放縦であり)一点旧道徳也不用了(昔の道徳のかけらもないものだ)、他門イ故的事情(あいつらのやった仕事は)、当不到汝イ故的一半(あなたがやる半分にも至らない)、却向我要銭用(そのくせ金はよこせ)、要酒渇(酒はのませろというのだ)。還有理由到別処去説(しかも余所へ行って理由も言える):”我今天【言上】桑渓大伯把我当牛耕了一天田(私は今日桑渓のおじさんに、私を牛の代わりにして畑を耕しに行ったんだ)、因為吃飯的縁故(飯を食べる為の縁故で)我不得不イ故事(事をしないわけにはいかない)。可是現在腰也発冬了(しかし現在腰まで痛くなってしまって)、只差比牛少埃一鞭子(ただ牛に比べてマシなのは鞭でやられないだけのことだ)。”這話是免不了要説的(このような話は言うのに免れないことだ)、我実在没有【1カ1】法(私は本当にどうしようもなくって)、才要他門幇忙(そえで奴らに頼んだのだ)!”
ヒ想説(牛はこう言いたかった):”我願意明天就好(俺は明日よくなってくれたらと願っています)、因為我不歓喜邦向汝要銭要酒飯的漢子(おれは親父さんにお金をだせ、酒を飲ませろ飯を食わせろというあいつ等が嫌いです)。他門的心術都不【イ良】好(あいつらの根性は好くないです)。”主人不等ヒ説完就【イ良】重了(主人には牛が言い終わるのを待たずともとてもわかっていた)。主人離開柵欄時(主人は囲いを離れるとき)、就肯定而又大声説道(はっきりと、又大声でいったのだ):”我【イ良】他門(俺はあいつらが癪にさわる)、一天花了我許多銭(一日でさんざん金を使わせた)、還説小牛皮イ故鞄兜合式(それに若牛の皮で作った胴巻きは具合がいいなどと言う)。真是強盗(本当に強盗だ)!”
小牛居然【イ良】自然的同主人在一快未完事的田中翻土了(若牛が、ごく当たり前に、まだ鋤き起しの終わっていない畑で、主人と働き出したのは)、是四天以後的事(それから四日以後のことであった)。好天気還像是単為牛伯一ケ人幸福的縁故而保留到桑渓(好い天気はくもやん一人の幸福の縁故だけゆえに、桑渓に保留しているかのようであった。他門大約再有両天就可以完事了(彼らはおよそもう二日あれば仕事を終えられるであろう)。