牛 第5課 1

 
このような、一件(ひとつの)事件(できごと)が発生(おこった)

就是(それは)桑渓蕩(さんしーたん)に暮らす、渾名(あだなが)大牛伯(くもやん)という者が、

 前一天(おととい)居然(うっかり)在蕎麦田里(そばむぎばたけにて)

 同他(かれと)相依為命的耕牛(おたがいささえながらくらしている、耕牛に)

 為一点小事生気(あるささいなことの為にかっとなり)、

 用木郎槌打了邦耕牛后脚一下(もくづちで、その牛の後ろ足をぴしゃりと打ってしまった)。

 この耕牛は、ふだんは、彷彿他邦児子一様(わがこのようにしており)

 縦罵罵(たとえののしったとしても)也如対親生児女(それはじぶんが生んだ子供に対するがごとしで)

 在罵中還不少愛撫的(ののしるなかに、まだ少なからずあいのきもちがあったのだった)