普通の人々

普通の人々
1980年の映画だが、米国社会によく見られる家族の崩壊を描いたものと言われている。当年のアカデミィ賞の最高賞を受賞した。

弁護士の父親、妻、二人の男の子は高校生だが、一見、なんでもなさそうにも思える家族を描いたものだ。
ある日、暴風雨に遭い、ボードが転覆し、兄貴の方が亡くなってしまう。母親にとっては最愛の息子なのであった。
弟の方とは、うまく行かないが、親としての最低限としてのことはしているつもりである。
しかし、父親としては、母親らしくない接し方に、異議も唱え、ときには激しい夫婦けんかにもなったりする。
力もあり、体もおおきな息子を、いったい、どうしろ、と妻も、不平たらたらであった。
おかあさんなんか、おにいさんばかり、かわいがって、そのぼくの方が生き残って、くやしいんでしょう、などと息子から、何かにつけ、反発される。

息子(弟)は、精神不安に陥り、感情不安定が、ときにはなはだしく、親や、学校の仲間への暴言となって現れる。
弁護士の親から、メンタルクリニックへの通院を求められる。

父親は、その通院の事実を、親戚の一部にも話すのだが、妻はそんなことプライバシィとして話すべきではない、恥さらしだわ、という。父親は、知識人は多かれ少なかれ、そういった傾向がある、むしろ、歓迎すべきことだ、などと意に介さない。

同じ精神不安定をかかえている女子高生と、友達になり、食事したり、ボーリングしたり、楽しく過ごす。
ところが笑顔で分かれたはずの、そのガールフレンドは、翌日、自殺してしまう。ますます、気がヘンになり、深夜、かかりつけの精神医に電話をかけ、会いにいく。