エル・スール

「エル・スール」監督・脚本ビクトル・エリセ
 後半、大学生になった娘を、
洒落たレストランに呼んで、女の子の好みのフルーツ系パフェをもてなす。
娘は、どうしてわざわざ、こんなお店に呼んだのかと尋ねる。
隣の部屋からは、品のよい生演奏が聴こえてくる。
父親は応える。
この間、遅くに帰ってきたのに対し、
機嫌わるく迎えたので、それを気にかけて、
仲直りしたかったんだ、と。
事実、娘は、一方的に、ボーイフレンドと思い込む男性に、
つきまとわりかけていた。
家の周りの壁に落書きもされたりした。
父親としては、
娘の個人的なことに不干渉の立場だったろうが、
心配もあったのだった。

ところが、娘は、
子供の頃からずっと、気にかけていた事実を、次々と打ち明け始めたのだった。
机の中から、ある女性にあてた手紙を見つけ、不思議におもったこと。
映画館で、しばしば父親の姿をみたこと。
映画女優をしていた昔の女性のいたことは確かではあった。

無邪気に、その女性についての疑問を話されて表情には出さぬが、
父親はすっかりと打ちのめされる。

その翌日、老いた父親は、、自殺を遂げてしまう・・。