電車ラッシュ

7時過ぎだというのに、
電車内は、どの車両もぎっしりだ。
土曜日といえば、サラリーマンは休み、
それでも
高校生やら、デズニーランド目当てやら、
平日と変わりなし。
入ってドア付近の、
座席とのついたてカバーに有りついた。
ここに背中をつけて寄りかかっているだけで、
だいぶ、体も楽な気がする。
昔の兵隊さんは、歩行しながら眠っていたという話を聞いたことがあるが、
なるほど、
立ったままでも、まなこをつぶると結構眠れるものだ。
「東松戸」「市川大野」そして
船橋法典」あたりで、
第一次ラッシュはピークに達す。
というのも、次の「西船橋」の第二次ラッシュが、
怪物級になる。
体を傾けるように、窓に頭をくっつけていると、
背後から咳き込む。そして強い風圧、
人に向かって咳をするとは失敬な、と思い、
振り向くと、赤いポロシャツ、
柔道でもやっているような太い首。
こりゃだめだ、
下手に睨んでも、胸倉をひっつかまれそう・・。
我慢しているしかない、と言い聞かせたら
またくしゃみ。
ああ、こりゃたいへん、
わずか3分余りのものがとても長い感じられた。
西船橋で、
なだれのごとく大量に乗客が下りるものの、
ホームにあふれるばかりに待ち構えていた
新たな客たちが怒涛のごとく今度は乗り付けてきたのだった。
カバーにしがみつくようにして場を確保しようとした。
すると、
背後にがっちりとした肉マットのようなものを感じたのだった。
周りからの圧力で、
背中同士ぴったりとくっついてしまったのだった。
そして電車の発車。
ゴムボールのようなものにのっかったような・・。
ゆれるごとにボン。ボン。
そのまま10分近くで身動きできなかった。
まさに、スペシャルな乗り物、
スプラッシュ・マウンテンもどきの乗り心地なのだった。
目的地に着いてやっと通勤電車から解放されて
何気なく後ろをふりむくと・・
(省略)