平成29年 7月3日 東大

kusyami 大学訪問記
もうひとつの日曜日・・

 本日は、早朝に起床、あわただしく食事を済ませ、
6時半に出た。
ホテル宿泊の息子の荷物を受け取りにである。
新京成線、千代田線と乗り継いで、
7時半には根津駅に着いた。
日曜とあって、
電車はがらがら、余裕の電車であった。
これなら何も高いかねだして
ホテルに泊まらせることもなかった、などと思っている。
地下鉄の駅を出ると、
不忍(しのばず)通りと
言問(こととい)い通りの交差点になる。
弥生(やよい)坂と呼ばれるなだらかな坂を上ること5、6分、
通りの両側に農学部と工学部が見えてくる。
重厚な石垣、そして、レンガの塀。
イチョウとか
けやきといった大木の数々。
本郷通りにたどり着くと、
通りにそって
どこまでも大学構内を仕切るレンガ塀、
そしてイチョウ並木が続いているのだった。
信号をわたって住宅のある側に、
文部科学省宿泊所(ホテル)がある。
駅を出て歩くこと20分、
とにかく大学自体が壮大で、
周辺の高台に位置しているものだ。
ビルが立ち並ぶ以前は東京湾も一望できたのだった。
車がひっきりなしに往来するところから、
ちょうど音がかすかなる距離に
その宿泊所はあるのだった。
門前で電話して、
着いたことを告げる。
本人の意向で10分ほど、待つことになった。
その間、いかにも受験生風の若い男数名が、出て行った。
彼らは、申し合わせたように、
ペットボトルのお茶を携えて
またホテルへと消えていった。
約束通り、8時きっかりに入室。
静かなところと事前に伝えておいたように、
5階の角部屋があてがわれている。

ごーかく、の5だな、
などと勝手なことを空想しているのだった。

8時20分、いっしょにホテルをでた。
信号をわたって正門から入る。
いわゆる「赤門」は、別なところになる。
古めかしい建物の数々、
そして見る者を圧倒する巨木、
とにかく広い、
構内がみどり豊かである。
そうして関係者以外にしかわからぬように、
ある建物の前に、ひっそりと
「平成29年度工学部編入試験会場」とあるのだった。
受験番号は1番から66番、
すなわち66名の受験生が、
難関に挑戦する。
競争試験ではなく、
6割ができれば、
何人でも合格という建前である。
例年20名弱の推移である。

東京大学は学士入学の制度もあるが、
他大学からの学部入学は一切認めていない。
唯一、高専を対象にした編入だけがあるのだった。
日曜日とあって、
散歩に立ち寄ったと思われる人々も何人か見かけたが、
試験が実施されるのは、
誰もわからないように、
その看板はいかにもひかえめであった。

勉強するつもりで持参した参考書、
あるいは、長ズボンのはいった、
ボストンバックを預かって、
ひとり、大学をあとにしたのだった。

ふつうの親なら、がんばれとか
言うものかもしれないが、
たいへんなことだなあ
位は
言ったかもしれないのだった