就職が決まる

就職して1週間が経過した。
子供を相手にする仕事を探すつもりであったが、
給料のことを考えると迷ってしまった。

そこで、また、ビル設備に決まってしまった。
高齢者でも就職が決まりやすいのは、
危険な作業もあり、
万が一の場合でも、老い先も長くないのだし・・、
という隠された事情もあるのかもしれない。
従前の職場とは異なり、
仕事はゆるやかだ。
しかし、これから先、
どんな「オバケ」が現れるか、
見当もつかない。

色々な場面を想定してマニュアルはあるのだが、
現実に事故が起きた場合、
その手順を踏めば、大丈夫かどうかは
神のみぞ、知るである。
 過去10年以上の職務経験で、思わぬことも少なくなかった。

駆け出しの頃のことだ。
 しかるべきボタンを押しても、
すぐ戻ってしまう、ということがあった。
その現場一筋でやってきたベテラン氏や、
オーナー代理人もいた。
オーナー代理人は、
目の前で起きている不可解なことをさして、
何してんだ、と怒鳴るだけ。
この人はよく、プレッシャーをかける人だったが、
本当に、そのときはカンカンになって責めた。
ベテラン氏の温厚そうな表情もこわばり、
ボタンをおす手も震えだした・・。

 そのボタン操作が、
うまく行かなかったことでどうなったかは、
忘れたが、
しばらくして、別な幹部が、
分厚い取説を持ち出し、
ボタンを押してもどうして、
元に戻り、機械が停止せず、運転し続けたか、
説明にかけつけてた。

プラント設備などは、
本当に、無数に機器があって、
ひとつひとつに熟知するのに、
それなりの年数がかかるものだ。

 怒鳴られても辛抱強く、
与えられた現場で、
踏みとどまってやって行ける人たちが、
幹部ということなのだろう。
オーナー側が、
何かあると、どやしつけてくる手法だったので、
受注した側の 
末端設備員の間でも、その内部で
怒る側と怒られる側にわかれてしまって、
日常がぎすぎすしていた。

それで、一年ともたず、去ったのだった。

今度の事業所だって、
どれだけ保てるものやら・・。