第7課(その2)

  第7課(その2)
鋤了一塊田(畑ひとつ鋤入れを終えると)、他同邦牛停頓在一ケ地方(くもやんは、その牛と一つの場所に留まり)、釈了牛背上的頚(牛の背中のくびきを外してやって)、他才説話(くもやんははなした)。
他説(彼がいうのには):”我這人真是老糊余了(オレという人間は本当にボケてしまった)、人老了就要イ故春事(人は年をとると愚かな事をやってしまうものだ)。我想汝玩半天(お前は半日ぶらぶらして)、養息一会(しばらく休めば)、就会好的(それでよくなるだろう)、汝説是不是(なあ、そうだろう)?小牛別無意見可説(牛には別に言うべき事もなかったので)、望着天上(空を見上げていると)、天空頭上有只喜【昔鳥】飛過去(空の頭上に丁度カササギが空を横切って飛んで行くのがみえた)。
他就【言上】牛在有水草的溝辺去玩(くもやんは、そこで牛を水草のある小川に連れていき)遊ばせた、吃草飲水(草を食べさせ水を飲ませたが)、自己座到鋤上想心事(自分は鋤の上に座って心の事を想った)。他的的確確是打量他的牛明天就会全好了的(くもやんは確かに、明日には全く好くなると考えたのだ)。他還没有把蕎麦種下田(くもやんは、まだ蕎麦畑に種を播いていないのに)、就計算到新蕎麦上市的価銭(もう新しい蕎麦が市場に出た時の価格を計算していた)、他又計算到別的一此事情(彼は又他のことも計算していたが)、説起来全都近迂【イ良】平常的(言ってみれば、全てとても平常のことに近い事のようであった)。他打火鎌吸煙(彼は火打ち鎌を打ってタバコに煙をつけると)、一面吸煙一面看天(タバコをくゆらしながら天を見上げた)。天蒼得迫人(天は青く人を恐れさせるくらいだった)、高深無底(高さの深さには底がなく)、白雲散布四方(白い雲は四方に散らばり)、白日炙人背上如春天(白日は人の背中を春の空の如く炙りつけた)。這時是九月(このとき九月であり)、去真的春天還遠(本当の春までには遠かった)。