牛8課(その1)

牛8課(その1)


邦只牛(その牛)、在水辺立了一会(水辺にしばらく立った)。


水良静冷(水はとても冷えており)、
草是枯草(草は枯れていた)。


ヒ脚有苦痛(牛の足には苦痛があり)、
工作疲巻了(仕事で疲れていた)。


這忠厚動物、(この忠実な動物は)、
ヒ到後身在斜皮下坪中睡了(その後、坂の空き地で眠ってしまった)。


被太陽晒着(太陽に晒され)、
非常予服的故了夢(とても気持ちよく夢をみた)。


夢到大多穿上新衣(夢で旦那は新衣を着込み)、
ヒ自己角上則巻了一幅紅巾(牛は自己の角の上に赤い布を巻きつけ)、
両ケ大歩的従迎春的村里走出(両者は大またで迎春の村から歩き出し)、
預備回家(家に戻ろうとしていた)。


這是一只牛所能故的最光栄的好夢(これは、牛が見られる所の、最も光栄な夢を夢だった)。


因為這夢(この夢の為)、
不消説ヒ就把一切過去的事全忘了(牛が一切の過去の事を全て忘れたのは言うまでもなく)、
把脚上的痛処也忘了(脚の痛みも忘れてしまった)。


 正午(昼に)、山上村子有鶏叫了(山の村で鶏が鳴いたが)、
大牛伯牽他的牛回家(くもやんは牛を引いて戻った)。

 回家時(家に戻るとき)、ヒ看到ヒ主人似呼良憂愁(彼は主人がとても憂鬱そうなのに気づいた)、
明白是ヒ走路的皮足所致(それは牛の道を歩くとき足をひきずる所の致す所だというのは明白だった)。


ヒ曽小心的守看老規巨好好走路(牛は気をつけて、いつもの決まりを守りながら、しっかり歩いていた)、
ヒ希望ヒ的脚快好(牛は足が良くなることを願った)、
就是上凶悪粗暴不講理的獣医柔差一陣也良願意(たとえ、凶悪粗暴で道理を弁えない獣医にもみくちゃにされても、それでも願いたいのだった。)。