牛 第12課(その1)

 牛 第12課(その1)
 他願意信仰邦師伝(彼はその先生を信じたかった)、所以想起師伝索取制銭時一点勉強的就把銭給了(だから先生がお金を請求している時でも少しも無理をしないでそのお金をくれてやったのだ)。但望到従官路上忽忽走去的邦師伝背影(しかし官路をそそくさと去っていくその先生の背中)、尤其是邦在幇手肩上一串制銭(とりわけ、その助手の肩の上にある一束のお金を見るに到って)、他有点対迂這師伝本領懐疑(彼は、少しその先生の本領を疑った)、且像自己是又イ故錯了件事情(かつまた、自己が又ひとつやりそこなったかのようで)、不下迂打邦小牛一瑯槌了(その牛を槌で打ったのに劣らないことをしてしまったようで)、就不免懊悩起来(懊悩する気持ちを免れられなかった)。他以為就是十ム随便両針(彼はこんな気楽な二針にて)、也値一串ニ百銭(お金が一串と二百)、一頓点心(ご馳走)、這湿然是一種欺瞞(これは明らかに欺瞞だ)、為天所不許的(天の許さざるところだ)。自己性急所以又上当了(焦った為に又ひっかかってしまった)。邦時就正有点生気(其の時、正に腹が立っていたとき)、到後又為売糖人叫他買”牛肉”(其の後、又飴を売る人に「牛肉」を買うように言われたのだ)、簡単是有意暗示(これは全く意図的な暗示だと)、更不高興了(更に気分が悪くなった)。走進門見小牛睡在坪里(門を入って小牛が空き地で眠っているのをみて)、就大声辱罵(思わず怒鳴った):”明天殺了汝吃(明日お前なんか殺してしまうから)、清頓紅悶一大鍋(大鍋一杯に味付けだ)、看汝脚会好不好(足が治らなければ止むを得ない!)”
邦牛正因為被師伝礼了凡針(その牛は先生に針を打たれ)、敷了薬(薬を塗られたために)、邦只脚冬痛不過(足が痛くてたまらず)、全身見寒見熱(全身が冷えたりほってったりだった)。聞到主人這様気墳墳的罵ヒ(主人がこのようにプンプンと彼を罵るのを見て)、【目争】了眼看見大牛伯的様子(目を見張ってくもやんの様子をみたが)、心理【イ良】難過(悲しくて心が一杯になり)、又想犬犬(又泣き出したくなった)。大牛伯一見情形(くもやんはその成り行きに)、才覚得自己【イ乃然】イ故錯了事(又しても過って事をなしたと自覚した)、不該説這気話了(こんなことを言うべきでなかった)。就座到院坪中石緑毒上(そこで庭においてあった石のローラーの上に腰を下ろして)、一句話不説(ものも言わず)、背対太陽(太陽に背を向けて)、尽太陽考火肩背(太陽が背を炙るのに任せていた)。天気正是適宜迂耕田的天気(天気は正に畑を耕すのに適した天気だった)、他想同誰去借牛(彼は誰かに牛を借りに行って)、把其余的幾田地土翻松一下(その残りの何ムーかの畑を鋤き起して)、好珍早落種(何とか早い所種を播きたかったのだが)、想不出当這様時節誰家有可借的牛(このような時節に誰の家が貸してくれるべき牛を持っているというのか想い出せない)。
過了一会(しばらくして)、他不能節制自己(彼は自己を押さえきれなくなり)、又罵出怪話来了(又可笑しな事で怒鳴りだした)、他向邦牛表示態度(彼は牛に態度を示した):”汝撒嬌、就是三只脚(あまったれるな、たとえ三本の脚でも)、汝也要イ故事(事をなさなくてはならない)!”