牛第12課(その2)

 牛第12課(その2)
ヒ有十ム可説ナ?(牛に何が言えたことか?)ヒ開不是故意(牛は故意にしたことではない)。ヒ従不知道”牛”有理由(牛には「牛」に理由が有ろうとは知らなかったのだ)、可以在当忙的日子中休息(忙しい時期に休息してもいいなどという)、而這休息還是”借故”(それなのにこの休息はやはり「わざと」なのである)。天気這様好(天気はこのように好いのだが)、ヒ何云不歓喜到田里去玩玩(牛にどうして畑に行って身体を動かすのが嫌だというのだろう?);ヒ何云不想為主人多尽一点力(どうして主人の為に少しでも力を尽くしたいと想わないのか)、真到邦良食満屋満倉(穀物が倉に満ち溢れ)、”完全同意”的日子(「全く賛成です」と言える日まで(尽くしたいと想わないものなのか))就是如今脚不行了(今でこそ脚が駄目になってしまったが)、ヒ何云又説過”我不イ故”、”我要休息”一類話(牛はどうして又言わないのか?「私はやらない」とか「私は休みたい」とか云った類のことを)。不過主人的生気(しかし主人の怒るのに)、ヒ也能原涼(牛も許せたのだ)。因為這不比其他人的無理由湖市(これは他の人間が理由無く怒るのとは違うのだ)。可是ヒ有十ム可説ナ?(しかし牛はどんなことがいえたか?)ヒ能説”打包票、我明天就好”マ?(牛には「大丈夫です。明日には好くなる」と言えたものか?)ヒ能説”不相信、我門這時就去”マ?(牛には「信じないなら、我々はこれからでかけましょう」といえたものか?)ヒ既没有説過”我要休息”(牛は「休みたい」とは云わなかったし)、当然也不必来説”我可以不休息”了(もちろん又「もう休まなくてもいい」とも言う必要もなかった)。
 ヒ一切尽老多(牛は一切を親父に尽くした)、這是ヒ始終一貫的性格(これは牛の一貫した性格であった)。這時節主人如果把鋤工出(このとき、主人が若し鋤きを担いで)、ヒ【イ乃然】会【足良】了主人下田(牛はやはり主人について畑に出て)、開始イ故工(仕事をはじめ)、無一点不快楽神気(少しだって嫌な表情はせず)、無一点不耐煩(少しだって面倒に想うこともなかった)。
 可是説過好夕要工作的大牛伯(しかしどうであれ、仕事をしようといったくもやんも)、到後又来莫ヒ的耳役(その後又牛の耳をなで)、摸ヒ的眼(眼をなで)、撫ヒ的顔頬了(頬を撫でていた)。主人開不是存心想且幾ヒ入地獄(主人は決して牛を呪って地獄に落としたいと想っていたわけではなかった)、下油鍋(煮えたぎる油鍋につっこもうとか)、他正因為不願意ヒ和他分手(くもやんは正に、牛が彼と袂を分かつことを願わず)、把ヒ交給一ケ屠戸(牛が肉屋に渡されることを願わなかったので)、才有這様生気発怒的時候(こんな風に怒ることになったのだ)!ヒ所以始終不説一句話(牛が始終一言も言わなかったのも)、也就是能理解大牛伯平時在ヒ身上所イ故的好夢(くもやんが平素牛の身の上になす所の好い夢を理解できたからであった)。ヒ明白ヒ的責任(牛は自分の責任が分かっていた)。ヒ還料想得到、再過三天脚不能復原(三日経って足が元に戻らなくて)、主人月卑気忽然転成暴操非凡(主人の気持ちが忽然と凶暴この上ないものになっても)、也是自然応当的事(それは自然当然のことと推測する事さえできるのだった)。