牛 第13課(その1)

 牛 第13課(その1)
 当大牛伯走到屋里去捜取鎌刀削鋤把上小木栓時(くもやんが家の中に入って鎌を取り出し、鋤のくさびを削っていたとき)、ヒ嘗消消的独自在院里線了圏走動(牛はこっそりと独自に庭の中を回って動いてみて)、試試可不可以如平常様子(平常の様子のごとくいくかどうか試していた)。可憐的東西(あわれなヤツだが)、ヒ原是同世界上有此”人”一様(牛は元々世界の有る「人」たちと同じで、不慣迂在好天気下休息武閑的(好い天気の下休息して隠居しているのに慣れていなかった)。只是這一点(ただこの一点だけは)、大牛伯却欠少理解這火計的心(くもやんでさえ、相棒の心を理解するのに欠けていた)。他開没有想到ヒ還為這怠工事情難過(うしやんには、牛がこの怠慢の事情の為に辛い思いをしていることは想ってもいなかった)、因為イ故主人的照例不能体会到イ故工的人畜(というのは主人には通例仕事をなす人畜の気持ちなどは実感できるものでないのだ)。
 大牛伯削了一此木栓(くもやんはくさびを削ると)、在大坪中生気似的敲打了一陣鋤頭(空き地で怒ったようにひとしきり鋤きを叩いていた)、想了想従然火計三天会好(考えることは譬え相棒が三日で治ると)、也不能尽這三天空閑(三日間を何もしないですごすに任せることはできなかった)、因為好的天気是不比印子銭(好い天気というのは、高利貸しの金のように)、可以用息金借来的(利息を用いて借りて来ることのできるものではないのだ)。開且許願也不容易得到好天気(また願をかけても容易に好い天気を得るに到るものでない)。所以心上活動了一陣(だから心をひとしきり活動させて)、就走到上四保去借牛(四保に牛を借りにいった)。他古定了有三処可以説話(彼は、話のできる処が三つあると考えた)、有一処最可告(一つは頼りにするのに最もだ)。有了牛(牛がいれば)、他在夜間也得把邦片田土馬上耕好(夜間でも急いであの畑をしっかり耕しておかなくてはならない)。
 他就到了第一ケ有牛的熟人家去(彼は先ず牛を持っている知り合いの家に着いた)、向主人開口(主人に口を開いた)
”老八、把汝牛借我両三天(あなたの牛をニ三日貸してくれないか)、我送汝両斗麦子(俺が麦ニ斗出すから)”
 主人説:”大牛伯拍、汝幇我想去借借牛去(主人は言った「くもやん、あなたは俺を助けて牛を貸してくれないか)、我願意出四斗麦子(わたしは麦四斗出してもいいぜ)”
”邦我也四出斗(じゃあ、おれも四斗だす)”
”邦ム?汝牛不是好好的ム(どうした?あんたの牛は元気なのだらろう?)”