牛 第14課(その1)

 牛 第14課(その1)
台到第三処熟人家(第3番目の知り合いに着いた時)、就是牛伯以為最可告的一家去時(くもやんが最も頼りと考える家に着いたとき)、天気既夜了(天気は既に夜だった)主人不在家(主人は家におらず)、下了田還没回来(田へ行ってまだ戻っていなかった)。問邦家的女人(その家の婦人に尋ねて)、才明白主人花了一斗麦子(やっと主人が一斗の麦を使って)、向長丁肖保長家借了一只牛(長丁肖保長の家から牛を一頭借りて)、連同家中邦只牛在田中翻土(家のその牛とともに、土を掘り返しているので)、到晩還不能即回(晩になってもやはり直ぐに戻ることもできないでいる)。
 転到家中(家に戻ると)、大牛伯把火十的脚検査検査(くもやんは相棒の足を検査してみた)、又想解開薬包看看(そして薬の包帯を解いてみようとも思った)。若不是因為子牛有主張(もし子牛に主張が有ることが無いなら)、表示不要看的意思(その主張とは、看てあげるという気持ちは不要と意思表示してくれることだが)、日来的薬金恐等迂白費了(ここ数日の薬代がムダになってしまうに等しいかもしれない)。
各所無牛可借(どこにも牛を借りるべき無く)、自己的牛又実在不能作事(自分の牛も又実際事をなすのが不能であるので)、這漢子無力法(この男は、どうしようもなくなり)、到夜里還走到付近床子里去請助工(夜になってもやはり付近の村に行って助けを請うた)、用人力施鋤(人の力で鍬を入れるので)、説了良長的時候(とても長く説得をして)、才把人工約定(やっと人夫と約定した)。工人答応了明早天一亮就下田(人夫たちは、明日天が一たび明けたら直ぐに畑に下りることを約束した)。一共雇妥了両ケ人(一度に二人を雇うことにし)、加上自己(自己に加えて)、三ケ人的気力虫乃然不及一只子牛(三人のエネルギーでも相変わらず一つの牛の及ばないとはいえ)、但総可以珍天気把土翻好了(しかし総じて天気の良いうちに土を存分掘り返すことができるのだ)。大牛伯高高興興的回了家(くもやんはおおよろこびで家に戻った)。喝了一小胡戸水酒(ふくべ一杯で水酒を飲むと)、規規巨巨用着一ケ虫吃酒却不闇事的酔人姿態(おとなしく、飲んでも騒がない酔い人の姿態にて)、横睡到床上(横になって床に眠った):根据田既可以下種一ケ理由(畑に既に種を播けるという理由によって)、就胡胡余余故了一晩好夢(とりとめもなく、一晩好い夢を見たのだった)。半夜邦火計睡不着(夜中、相棒は眠れなかった)、以為主人必定還是会忽然把一ケ大頭同灯桟従柵欄外伸進来(主人はきっと、忽然と一個の大きな頭を、ランプと共に柵の外から伸ばして来ると考えたのだ)、誰知天亮了後、有人或主人名字(誰が知るか、天が明るくなっても、主人の名前を呼んでも)、主人還不曽醒(主人はやはり起きなかったということを)。
三ケ人用両ケ人在前(三人のうち二人が前になり)、一ケ人在後耕了半天田(一人は後ろで半日畑を耕したが)、子牛却立在田勝上吃草眺望好景致(子牛は却ってあぜにいて草を食べ、好い景色を眺めていた)。ヒ邦情景正像小該子因牙痛不上学的情景(くもやんのその情景は、正に少年が歯痛の為に学校を休んでいる情景であった。)望到其他学生背書(他の学生たちが書を暗記しようとし)、費大力気(大きなエネルギーを費やしており)、自己才明白故学生真不容易(自分でも学生をやるのは本当に難しいということがあきらかになったようなものだ)。不過往日論輪到ヒ頭上的工作(しかし以前にこの牛の責任だった仕事については)、只要傷所一復元(傷の箇所が治りさえすれば)、也乃然免不了要照様接受(あいかわらず、いつものように 引き受けるのを免れ得ない)。
凡ケ人合作耕田時(三人で一緒になって畑を耕しているとき)、牛伯在後面推鋤(くもやんが後ろにいて鋤を押していたが)、見到火計立在太陽下的寂寞(相棒が太陽の下に立って寂寞としているのを見て)、順口豆牛説(からかって言った)。”火計、汝也来一角去(相棒、汝も来て一角をなせ)”若果不是笑話(もしこれが笑い話でないなら)、ヒ也絶不会推辞這ケ提義(牛もこの提案を決して辞退しなかった)。但是主人因為想起昨天放在医生的手背上邦一串放光的制銭(しかし、主人が昨日医者の手の上に置いてあった、あの光を放つ制銭を思い起した為)、所以不能不尽子牛玩了(若牛を遊ばせておかざるを得ないのだった)。
 不過一事不作(しかし一つの仕事もせず)、任意的遊(好きなように休んで)、吃草(草を食べ)、睡臥(横になって眠り)、豪無拘束在日光下享福(少しも拘束されず日光の下で福を受けながら)、這子牛還是心理良難受(この牛の心はやはりとても難を受けていたのだった)。因為両ケ工人在拉鋤時(二人の人夫は鋤を引くとき)、就一面談到殺牛売肉的事情(一方では牛を殺して肉を売る事を話しており)、他門境完全不為立在面前的子牛設想(彼らは完全に面前の子牛を想っていなかった)。他門説皮脚如何只活宜迂吃肉的理由(彼らは、足を引きずるのでは、如何に只、肉を食べるに適する理由にしかならないことを述べているのだった)。又説牛皮制靴故皮箱的話(あるいは、牛の皮で靴を作り皮箱を作るという話をした)。這此壊人且口口声声説只有小牛腹可以下酒(この悪い奴らは口々に言う事は只小牛の腹は、酒の肴にいいとか)、小牛肉風干以後容易隈欄(小牛の肉は、陰干しにすることで、煮込みが容易だとか)、小牛皮イ故的包兜凧帯予服(牛の皮で作った胴巻き付けるのに十分だとか)。這此人口中説的話(この人の口中に出る話というと)、是無心還是有意(無心なのか故意なのか)、在小牛聞来是分不清礎的(小牛には聞いてもハッキリとしなかった)。ヒ有点討厭他門(牛は少し彼らが嫌になった)、尤其是其中一ケ年青一点的人(その中一人の若い方のは)、竟説”ヒ的病莫非是仮装(あいつの病気は仮装ではないだろうか?)”邦此壊話(そういった悪態)、有破壊主人対牛友誼的陰謀(主人の牛に対する友好を破壊しようとの陰謀があった)、虫然主人不会為這話動揺(主人がその話の為に動揺することが無かったけれど)、可是這人心術不良是無疑了(しかしこの人の心情の不良といったら疑い無かった)。