マンション管理会社、面接。
出てきたのは、k氏。人事の責任者という感じ。60代後半かと思われた。頭髪は七三に分け、面長、穏やかな話しぶりで、感情をほどんど表に出さなかった。これは、あとで出てきた他の二人についてもいえた。
10分の時間を与えられ、簡単に、文章を書かせられた。
志望動機。趣味。最近のマスコミについて興味あること。以上。
はじめに、事務的な伝達。主に給与面についてであった。
残業が月に30時間ほどあり、これを越えた場合は、割り増しになるとか。
10分後に面接。二人が現れた。一人は若手で、まだ二十代と思われた。もう一人は四十代後半か。経歴等を口頭で説明してくれ、というものだった。これは、若き日、公務員面接と同じ手法だった。学校事務で受けたことがある。無論、不合格である。今回は、どうなるかわからないが、大同小異。30年経っても、緊張は変わらない。質問を受けたが、こうした本格的な面接の場を設けてくれるとは思わなかった。前職の退社理由をしつこく聞いて困らせるような場合は、その場で席を立って退場するつもりはあった。退社理由は、こちらで言った。「他の会社に落札されてしまって、全員辞めることになった」「夜勤が合わず、体調を崩して辞めた」などなど。若手は、「管理業務主任がよく合格できましたね」と言った。「二度落ちています」と付け加えた。「どれが一番難しかったですか」と問われ「電気主任技術者」と答えた。「何か質問はないか」と二度繰り返されたが、「ありません」と言った。心の中では、何がなんでも就職という気持ちが欠けていることは確かだ。事実だから、しかたがない。何か言った方が熱意を示していることにもなるのだろうが。午前と含めて、約1500円の出費。
さて、付け加えておくと、午前は、「不動産」の名前がありながら、清掃、設備、警備と幅広く派遣を行っている会社である。これは、千葉ポートアリーナ、という高層ビルの一室にある。始めに、一枚の紙が用意されており、これに記入してくれ、とあった。見て、かなり、やる気をそがれてしまった。前職について事細かに記入する仕組みになっていたのだ。連絡先の電話番号まで記入させられる。電話で、退社の状況を確認するつもりでもあろうか?それは、それで結構な事だが、その記入の段階で、このような会社で働くつもりもない、しかし、せっかくきたのだから、体裁だけは取り繕うようにしよう、と考えた。病歴の欄には、丁寧に、糖尿病の持病あり、と記入しておいた、これで、入社の可能性はないのだろう。
千葉ポートアリーナ、ここは、控え室から、港の眺めがとても良い。担当はわりと丁寧な感じだった。「この仕事で定年までやっていくつもりか」と二度繰り返された。「やっていくつもりではある」が、お宅の会社ではやっていくつもりはない、と心では思った。すると、病院というのは大変です、八時間びっしり働かされます、設備担当がとても設備に詳しく、あやまったことを言うとたちどころに其処をついてきますよ、などと、ますます私の考えを肯定するようなことを並べる。身分は、アルバイトなのにこれほどまでに、慎重に調査するとは、よほど、きびしい会社なのだ、とおもった。二次面接の可能性があります。その場合は、今度東京に行ってもらいます。(とんでもない)(これでサヨナラ)と口に出しては言わなかったが、