お見合いパーティ

二十代後半の頃、私は学習塾講師をしていた。収入は少ない。休みの日と言っても、公立図書館に行き読書する程度。半分は退屈、半分はカネもないのでやむなし。
 あるとき、暇つぶしに、某財団法人が主催するお見合いパーティに出席することにした。その日の為に、スーツを購入。
 男性三十名に対して女性三十名。男性はそのパーティに出席するのに、結構待たされるのである。
 当日は、一人三分で、回り鮨のように、ずれていく。
 はじめにプロフィール。学歴、年収、資産?などを記入。
 お互いにそれを相手に提示。それから「ときめく」おはなし、ということになる。
 私は若造にすぎなかったが、十代後半から上は六十代まで幅広く話をすることができた。自分の立場というのはある程度、認識してはいたが、何人かの女性は、話しかけてもぶっきらぼうにしか返答しない。
 こちらも調子が狂った。いったん気落ちすると立て直しにひとくろう。気分を入れ替えて、次の女性とフレッシュに対応するのには、しんどい、ものがあった。
 昼休みを挟んで、二時間近くしゃべりっぱなし。五人まで、交際希望を記入。本心としては、全員に希望を出したいくらいだった。お互い、希望が合えば連絡先を教えてもらえる。期待はしていなかったが、私に申し込む女性はいなかった。
 でも、いろんな世界の女性とはなしができただけでもよかった。
 
 あの頃から、世の中、自分の思い通りに行かないものだということが分かった。だから、今も、貧しい生活をしているが、これが自分に与えられた人生なのだとあきらめている次第です。