エアコン設置、72000円なり

エアコン設置

 業者がエアコン設置に来た。
 大手家電店を経由して、出番が回ってくるのだろう。年齢は六十は過ぎている感じだ。身長があり、野球の選手のように、痩せている。従って、エアコン設置の高い仕事にはウッテツケと思われた。

 ベランダに行き、まず、屋外機から延びているいる金属製の配管を工具で、切った。シューという音と共に、気体が抜け出た。
 妻が、「フロンじゃないですか」と言ったら「ええ、配管に残っている分だけ」と業者は応えた。
 フロンは大気中に放つのは環境的に良くないのだと思うのだが、少量なら問題ないのだろうか。
 その古い屋外機を出しに出ている間、ベランダの掃除をした。
 ここは(専用の)共有部分にあたり、災害の時など、避難の為に隣人が利用しても文句は言えないという空間(スペース)である。従って、勝手に、屋外機を床に固定したりはできない。大規模修繕などで床の張り替えなどあれば、これに応じられるようモノはどけなくてはならない。しかし、普段は、自分の庭のように、独占的に使用を許されている。
 前住人の頃より、なんら掃除はしていないので、ずいぶんと汚れていたが、湿ったタオルで力を入れて拭き取った。
 ウチは、階段のない四階で、敷地内に業者用の臨時的な駐車場がなく、再び現れるまで時間があったので、十分にベランダの掃除ができた。
 
 さて、業者は、今度は、屋内機の取り外しにかかった。これは、ひっかかっているのを外すだけ。作業の邪魔になる電源コードとか、操作用のスイッチ箱などは、次々切って外してしまった。
 すると、元枠となる金属製の細い二本と、それに被せるように固定されている平板(プレート)が壁に現れた。このプレートは、エアコンの種類により大きさが決まっているようで、元のシャープ製のものは、電動のビス(ねじ)回しで何カ所か、ビスを取ることで簡単に外せた。
 次ぎに、新たに、霧ヶ峰三菱電機製)のエアコン用のプレートを取り付ける。
 先の、金属製の二本に取り付けるのだが、この二本は、上下端をそれぞれ、窓額の上部の木部と、天井の木部に固定されている。つまりコンクリートの壁部分に直接固定されているわけではない。
 しかし、この業者はプレートを二本に固定する際、何本かは長いビスを使った。つまり、共有部分であるコンクリートも、わずかばかり孔を空けてしまったのである。確かにその方が、万一の場合、エアコンが落ちることもないのだが、マンション管理に関する資格者としては、気になる行為であった。
 また、作業の際、上の階に響き渡ったのか、天井が、上の階では床が何か物音がしたように思う。うるさいというので、床を蹴った?だとしたら少し物騒だ。

 次ぎに、エアコン本体の処理だ。断熱材に包まれた金属製配管とか、復水(ドレン)用の配管とか、アース線、コンセントのある電源コードなど、取り付け位置が相応(ふさわ)しくなるよう、寸法を測って切ったり、テープ巻したり、繋いだり、これは、本当に手品師の早業を見ているかのように一つ一つの動作が、素人離れしているとしか言いようがなかった。
 壁には、エアコン用の孔が付いている。元の粘土(充填材)を取って、新たに貫通させていく。これも寸法が過不足ないよう、厳しく見当していた。
 エアコン本体から出ている短い金属製配管に、新たに延長用の金属製のものをつなげる作業、また、エアコンに本体に赤・白・黒(ひとつはアース用)の三本の電線をセットする作業、こうした配管等を一束にして、向きを建物に合わせて本体下部から出すようにする。
 寸法を何度か測って、エアコン孔に出ていくようにしている。

 内部が終わったら、今度はベランダの屋外機だ。
先ずは、ふたつのプラスチック製とおぼしき台に屋外機を載せ、ビスで固定する。
 凝ったのは、エアコン孔から出ている配管等の束の方向性のクセをなくし、壁にくっつくようにすること。
 束は、二本の金属製のものと、復水(ドレン)のものと電線と言ったものだ。金属製の端は適度な所で工具で切り、更に端末を別な工具で処理した。
 また、電線の被覆を切って、露呈した裸銅線を所定の位置にセットする。この作業などは自分の電気工事士の実技試験を思い出させたが、手際よさは、毎日やっているこの業者にはかなわないと感じた。
 そして、ポンプにて、金属製の配管に冷媒を注入。
 これはフロン401Aというもので、環境的にもよいものらしい。といってもホームページで調べた限りにおいてだが。エアコン取り替えの都度、簡便だという理由で、どこの家庭からも空中放散されているのかな。職場では、さすが業務用とあって、厳格に別な容器に移し替えの作業をみたことがある。
 「冷媒」は配管を屋外機と室内エアコンの内部をぐるぐる巡って、室内の熱を夏なら奪い取り、その分、屋外に熱放散するような、「運び屋」みたいなものだが、フロンはこの熱の運び屋として、有能な気体なのだが、大量に空中にばらまかれると、オゾン層破壊につながるとして、問題になった。
 
 エアコンは、換気の機能はないとしても、室内にて、ガスヒーターのように二酸化炭素など出ないので、空気を汚さないものとして、良いのではないか。
 寒い昼は、ガスヒーター、寝る前の夜は、エアコンなどと併用して使うことが期待されている。

 さて、自分も、電気工事士(1種、2種)などの資格があり、エアコン設置自営業者などやれないこともないが、手際よくやっても二時間近くかかる作業、ベランダならいいが、住宅によっては、高所もあるだろう。神経痛らしきものであちこち痛み、動きもままならない自分にはできない仕事だと感じた。

 終わると試運転。業者も、表情をみせ、ひとことふたこと、にこやかに談笑してくれた。

 エコポイントもついたが総額7万2000円ほどの工事が終わった。
夏場を過ぎて、かなり時期はずれでもあった。もともと公共性の高い建物なので、日当たりよく風通しもよく、寒暖に関して自然の恩恵を十分に受けるように設計されているので、人工的な冷暖房の出る余地は少ないのだが、エアコンだけ前の所有者のものが、壁に残っていたので、新品のものに変ったことで少しは、室内装飾が、明るくなったというイメージもある。
 ペンキが塗られていない部分が少し露呈してしまったが、別な機会に塗っておこう。