オイルショック

1979年、というと、日本にとっては試練に見舞われた年でした。第二回目のオイルショックがありました。原油を輸入することで経済成長を遂げていたのですが、その原油がどんどん値上がりしました。日本の経済は大混乱に陥りました。

ちょうどその年に大学を卒業しましたが、就職活動も思うようにいかず、途中であきらめてしまいました。もともと仕送りは受けず、家庭教師などのアルバイトで生計をたて、学生生活を送りました。私は最後のチャンスとして公務員試験を受けようと思っていました。

卒業してみると、完全に孤立した状態になってしまいました。それまでは、学校へいけば、誰かと会って、無駄話をしたりして過ごしたものですが、そういうこともなくなってしまいました。精神不安に襲われ、学習も思うようにできなくなりました。

こんなとき、秋田に暮らす祖母が、ねたきりだったのですが、いよいよ、危ない、ということで、実家から秋田に戻れという連絡が参りました。私はその言いつけに従い、秋田に戻りました。その日からかつて、勉強部屋であった二階の部屋で、過ごすようにしました。夕方になると、たんぼや川沿いを散歩して過ごしました。

すると都会で一人暮らしをしていたとき、おそってくる不安が、無くなっていることに気づきました。勉強も進むようになったように感じました。その祖母も亡くなり、葬儀も済んでもすぐに東京に戻らず、半年近くを実家で過ごしました。

翌年の夏に、予定通り、公務員試験を受けました。いくつか筆記試験には合格しましたが、面接でどれも不合格という結果でした。

食べて行くためヤムを得ず、仕事をして、いくつか職を変え、現在にいたっております。苦しいとき、ふと、二十代の頃、自分を、快く迎えて、ただ飯をくわせてくれた、両親のことを思います。父は亡くなり、母親が一人で暮らしておりますが、感謝の意をこめて仕送りは続けております。