天国と地獄

「天国と地獄」1963年。
靴の老舗会社の幹部たちの対立が冒頭を飾ります。
株式所有の持分をめぐる応酬があるのですが、
ホリエモンが、
放送株を独占して、放送局の実権を握ろうとしたことがありましたが、
そのアイデアはすでに黒澤映画で実証ずみでした。
昭和38年の映画です。

デザイン重視、工程を省いて、
安い材料で、高く売れる靴を企画、
利益を膨らまそうと画策する幹部3人。

ひたすら靴作りに励み、丈夫で長持ちする靴を追求してきた社長の下、
16歳で弟子入りして、社長と同じように、
嬉しさも悲しさも靴作りの中にみいだしてきた
権藤に、
考えを変えさせようと相談を持ちかけます。

しかし、猛烈な反発に遭い、
家からたたき出されてしまいます。

具体的には。

(幹部側の言い分)
わがN社は、営利事業だ、商売なんだ、
この靴は、確かにいい靴だ、立派な靴だよ、
だが、コストが高すぎる、それにデザインが古すぎる、
それからもうひとつ、
丈夫すぎる、
適当に壊れてもらわなければ売れ行きは伸びんよ。
女性にとって靴はアクセサリーだよ、
帽子やハンドバックと同じだ、
まず、いかすデザイン、手ごろな値段、
それに女の子は飛びつく・・。

(権藤)
靴と帽子が同じだという説にはついていけないな。
早い話が、
帽子は頭の上に乗っかっているだけだが、
靴は、女の目方を乗せて歩く。・・
オレは、
16のときから見習い工を振り出しに、
ほぼ30年間、
軍隊にとられた期間を除いて、
N社の中で生きてきた。
あの工場のことならどんな音も、どんな匂いも知り尽くしている。
いろんな靴を作ってきたが、
そのどの靴のことも私は覚えている。
みんないい靴だ、しっかりした靴だ、
今更、
こんなガラクタ靴に、
N社の名前をかぶせたくは無い・・。
このなモノをカネをとって君たちは売りつけようというのか。

怒り心頭に発す権藤に対して、
面目をつぶされた幹部たちは、
当面の敵とする社長を手を組み、おまえを会社から追放すると宣言する。

権藤は、全財産をかけ、
非常手段に掛ける。

それは映画をみての楽しみとして。