葉真陀正午

職場の同僚 葉真陀正午 
地下の防災センターに詰めているのですが・・
直方体の形をした小さな小部屋で、
殺風景としか言いようのないところです。
地下にあるちょっとした
棺桶的小部屋が職場。
そうして数年後、われわれは、本物のカンオケに入る
あるいはサンコツか・・
そこにいるのは、70代前後が中心。
小生など、まだ、若手であります。
忙しいときもあれば、
ヒマヒマヒマという時もある。
自然発生的に雑談がでます。
ガードマンをしている葉真陀さんは、68歳。

こんかいはその同僚について・・
母親が90を超えて老人ホームに暮らします。
本家を継いでいるのは長男。
次男が葉真陀さんです。
妹がいて、年齢不詳。
父親はすでに物故しました。

葉真陀さんの自慢は妹です。
「妹の旦那は都内の内科医である。
旦那は山形県出身、代々医者をしていた。
しかるに実家は今、後継ぎが不在、空き家だ。
旦那に見染められたのは仕事のためだ。
妹は、病院の事務をしていたんだ。

身内なので容貌のことは考えたことがないけど
電車で見知らぬ男に、ぐいぐい押されたことがあるんだ。
別な男が、なにをする、と
その男を、満員電車の中でおっぱらってくれた
ところが、その男も、こんどは不穏な動きをしはじめた
逃げたいが、ぎゅうぎゅう詰めでは、そうもいかない

それをきいて、本当に、満員電車の男たちが憎かった。
しかし、妹も、どこか、まんざらでないのだと思った。
まもなく、職場のお医者さんから妻になってくれとオッファーをいただいた。

今はガードマンをしているけど
葉真陀さんは、国立の東京商船大学を卒業、
船乗りにはならなかったけど、
ずっと貿易の仕事をして定年まで勤め上げた。
兄貴も、国立の東京工業大学を卒業、
だれもが知っている会社に勤め、定年まで勤めた
そして、本家を継いで、
今は、駅ビルを所有して、管理人をしている。

周囲から、いつも比べられて
兄貴は優秀なのにねえ、と言われたが
自分なりに努力はした。
勉強部屋はなくて、
一つのちゃぶだいに向き合って、家族のいるところで
勉学にはげんだ・・。
以下省略。